妥協
迫られる妥協
リーダーというものは、目標を定め、それに向かって結果を出せるように行動しなければなりません。
そして、リーダーの決断や行動には、一貫した方向性が大切になります。
ところが、一貫した方針のものとで常に活動できるとは限らないのが、現実社会の難しいところです。
私達は、何かしらの制約を受けながら活動していますから、常に自分の思い通りの行動を取れるわけではありません。
リーダーが自分の方針ばかりを主張していたら、物事が全く進まなくなってしまう場合があるわけです。
顧客からの無理難題、隣接部署との利害の衝突、突然の決定事項変更、クレームなど・・・
出来れば現在の方針は曲げたくない、でも避けては通れないような事が、経営活動の中では往々にして起こるものです。
そして、時には妥協する事も必要になるでしょう。
「その金額じゃ、取引できないな。あと20%値を引いてくれないと。」
「現在の値段のままで、この部分の仕様を変更してくれ。」
「いきなりで悪いけど、来週の納品を3日後にしてくれる?」
「ちょっと、これ思ってたのと違うわ。返品します。」
こんな時、アナタはこれらの意見を突っぱねるか受け入れるか、悩むはずです。
突っぱねてしまったら、今後の利益に大きく影響を及ぼすかもしれません。
しかし、受け入れてしまったら、組織内で働く人々に負担を強いる事になるかもしれません。
どちらを選択しても、摩擦は起こるわけです。
ましてや、今まで強く方針を打ち出しながら周りを引っ張ってきたタイプの上司であれば、尚更のことでしょう。
部下達にシメシがつかないと感じる事も多いのではないでしょうか?
しかし、現実には妥協しなければならない場面が多々出てきます。
では、リーダーとして妥協を迫られる場面に直面したとき、アナタはどうしますか?
糸の切れた凧
妥協する事は、なにも全てが悪い事ではありません。
現実の経営活動においては、何かと制約がつきものです。
その中で物事を進めようとすれば、妥協しなければならない部分が出てくるのは当然のことです。
妥協する事が、相手の言いなりになることの様に思えて、恥ずかしくなる事があります。
けれども、妥協する事が全て恥ずかしい事ではありません。
相手の立場や心情をわきまえて行動することは大切な事です。
逆にその事が、今後の経営活動に明るい潤滑油の作用を及ぼす事だってあるのですから。
ただし、その場その場の気分や雰囲気で、相手の言うままに妥協ばかりをしていたら、アナタは誰からも信頼されなくなるでしょう。
「〇〇商事との交渉ですが、向こうはAとBを要求しています。」
「そうか。相手は大事な取引先だから、そうするしかないな。」
「しかし、それでは今まで進んでいた企画がほとんど無駄になってしまいます。」
「うるさい!じゃあ、〇〇商事との今後の取引が台無しになったら、お前が責任を取ってくれるのか!?仕方がないんだ。これ以上言うな。」
ありふれたドラマのワンシーンの様ですが、実際に起こっている事ですから笑うに笑えません。
確かに社会には、力関係というものが存在しますから、立場上やむを得ない事はあるでしょう。
しかし、ここで注意しなければならないことがあります。
あくまでこの社会は競争社会であり、弱肉強の食社会です。
いつも首を縦に振って言われるままに行動していれば、良いというわけにはいきません。
その様な会社や人間は、結局相手に言いように扱われて、それでお終いです。(これって、下請け会社によくある光景ですね・・・)
単に力関係やその場その場の雰囲気だけで、物事を判断してしまえば、それは致命傷です。
1度や2度ならまだ修正がつきますが、基軸のない判断による妥協が繰り返されれば、そのうちとんでもない方向へと組織は傾き出します。
組織全体が、まるで糸の切れた凧の様に、どこ行く宛てもなく風の吹くまま流されてしまい、そしていつかは墜落していくのです。
いつも2転3転する方針では、効率の良い業務などとても実現できません。
部下はいつも違う結論に翻弄され、次第にやる気を失っていきます。
妥協は交渉の場
糸の切れた凧の様にならないためには、様々な状況に惑わされず、本来の目的や使命を基準に判断する事が、リーダーにとっては必要です。
「この活動の目的は何なのだろうか?」
常にこの様な問いかけをしながら、目的を達成するために
”貫かねばならないこと”
”妥協できること”
を明確に区別する事が必要になります。
「う~ん・・・言ってる事はわかるんですけどね。でも実際には・・・」
そんな言葉が聞こえてきそうです。
確かに、実際にその様な場面に直面する場合のほとんどは、自分よりも力関係上、立場が上の者からの要求です。
最悪の事態を想定したら、”意志を貫く”なんて、正直簡単に出来るわけがありません。
仮にそこまでいかなくとも、日常業務の中では、ついつい流されがちになってしまいます。
しかしそんな時にこそ、重要なポイントがあります。
”妥協を強いられる場面とは、「交渉の場」である”
と考える事です。
相手側が何かを要求してくる場合、そこには何らかの「原因」があります。
相手側からすれば、その原因が解決しなければ、自分達の目的が達成できたとは言えないわけです。
そして同じく、こちら側にもこちら側の目的があり、それを達成させなければなりません。
つまり、相手から何らかの要求を受けた場合は、相手の目的の達成と自分の目的の達成をすり合わせていくことが必要になるのです。
そして、そのため作業が”交渉”となります。
交渉によって、お互いの接点を模索していかなければならないのです。
その接点が、「妥協点」と呼ばれるものになります。
「〇〇商事との交渉ですが、向こうはAとBを要求しています。」
この様な状況に直面した場合、その要求する相手の「背景」を探らなければなりません。
そう相手が望む原因を考える事が必要になります。
「△△が原因だな。」
その様に判断したら、次に自分たちの組織の使命と目標に照らし合わせなければなりません。
「Aという条件は飲めるが、Bは自社の目標に反するし、今後大きな利益の損失も招きかねない。向こうが、そう要求する原因が△△ならば、Bの代わりにCという提案はどうだろうか?Cなら向こうの利益に合致するし、こちらの損害は少なくなる。」
(↑ 代替案の提示はビジネス交渉の定番ですね。)
このように判断し相手と交渉する事が、ビジネスにおいてリーダーが取るべき「妥協」の仕方です。
まあ、このように常に上手い具合に物事が進むわけではないんですけどね。
しかし、トータルで考えれば、単に相手の要求を受け入れるだけと、交渉によって妥協点を模索する場合とでは、大きな差が出てきます。
最終的に糸の切れた凧にならないためには、ひとつひとつの局面で、常に基軸へと向かって修正しようとする努力が必要です。
繰り返しお話しますが、何かしらの制約を受けながら行動しなければならない経営活動というものは、妥協というものが付き物です。
そしてそれは、決して恥ずかしい事ではありません。
自分たちの目標や使命を常に基準に持ちながら、相手の心情や利害を踏まえて判断し行動する事は、立派な事です。
妥協すると言う事は、常に相手の言いなりになるという事ではありません。
妥協は常に「目的を達成するため」に取るひとつの手段なのです。
相手が何かを要求して来た時は、妥協の場面というよりも「交渉の場面」であると意識してみましょう。
何か新しい道が開けるかもしれません。
余談ですが、この様な考え方は自分が判断を迫られた時だけに使うものではありません。
相手を判断するときにも、使います。
相手が何を妥協し、何を貫き通すつもりなのか?
相手を判断する時は、このような視点で相手を見る事も必要ですね。
そうすると、自ずと相手の目的が見えてきたりします。
貫き通す先に、相手の目的があるわけですから。
今世間の話題は、楽天とライブドアによる球界新規参入のようです。
一部マスコミでは、まるで仙台の陣取り合戦かの様に、両社の奮闘振りを採り上げています。
特に、ライブドアの堀江社長に関しては、注目の的ですね。
さて、その話題の両社の社長は、新球団設立のために仙台の地元の有力者達と面会しました。
球団を設立し運営していくという目的を果たすためには、地元の協力がどうしても必要だからですね。
でも、堀江社長は従来のスタイル通り、一度もネクタイを締めずに、彼らと会いました。
もうそれ以上は言いません。
堀江社長の本当の目的がどこにあって、何を貫き通し、何を妥協するつもりなのか・・・
ブラウン管を通した映像からも、その意図が少しだけ見え隠れしているような気がします。
post by ノリユキ at 11:30 | コメント・トラックバック(0)