読書の本質

「読書とは、自己投資」

出版社のキャッチコピーであるならまだしも、そう吹聴する輩が多い様に思います。

しかし、私は別に本を出版しようとかそういった願望がなく、その手の業界に媚を売る必要もないので、思った通りのことを言わせてもらいますが、

読書とは、自己投資なんかじゃ決してありません。
頑張ったところで、それはせいぜい趣味の範疇です。

もちろん、こんなことを言うと、

「本には色んな知識が詰まっているんだから、積み重ねていけば、必ず自分にプラスとして返ってくる。
百歩譲って趣味だとしても、そういった風に積み重ねることは、自己投資に他ならない」

なんて具合に思われがちです。

しかし、それを言ってしまったら、人生に起こり得る全ての出来事には何かしら得るものがあるわけで、全てが自己投資に当てはまってしまいます。
映画鑑賞も、観光旅行も、切手収集も、人付き合いも、ももいろクローバーZのライブでサイリュームを振って応援することも、みんなみんな自己投資です。

それなら、わざわざ「読書とは自己投資」なんて言う必要なんてないじゃないですか。
つまり、読書は自己投資じゃないってことなんですよ。

ですから、読書を自己投資だと思ってたくさんの本を読んでいるなら、今すぐやめた方が良いです。
だって、無駄な時間を過ごしたくはないでしょ?

 

例えば、数学の勉強を思い出してください。

教科書や参考書を1回か2回読んだだけで、問題がスラスラと解ける様になりましたか?
ならないですよねぇ。

では、1回か2回しか読まない教科書を複数冊読むと、問題がスラスラと解ける様になりますか?
ならないですよねぇ。

じゃあ、英語は?古文は?世界史は?
簿記やファイナンシャルプランナーの試験は?
国家資格の取得はどう?

1、2度しか読まない本を、いくら数だけこなしたところで、合格できる様にはなりません。

読んだだけじゃ何も身に付かないことなんて、自明の理なんですよ。
子供だって、知ってる話です。

なぜ、大人になってしまうと、そんな当たり前のことに気付かなくなるんでしょうか?

「本を読む」という行為で限定するならば、

同じ本を何度も何度も繰り返し読み返し、
そこにある知識を繰り返し覚えたり、
そこから生まれる問題を繰り返し繰り返し解くことで、

そうやってはじめて、自分の身に付いていくものなんです。
そこまでやって、はじめてその本は自己投資として活きるわけです。

そして、そういった行為は「読書」とは呼びません。
「学習」とか「勉強」と呼ばれる行為です。
単なる読書は、決して自己投資になんてならないんですよ。

 

勘違いして欲しくないんですが、別に私は読書を否定するつもりはありません。

読書は、ある意味において、人生を豊かにしてくれます。
面白い小説はたくさんありますし、人生の糧となる書物もたくさんあります。

つまり、趣味として読書を嗜むのは全然OKなわけです。

しかし、自分のビジネスにおける自己投資として、多読を繰り返すことはオススメしません。
というか、意味ないし。

 

ショウペンハウエルは、以下の様に述べています。(「読書について 他二篇 (ショウペンハウエル,斎藤 忍随/岩波文庫)」より抜粋)

「読書で生涯をすごし、さまざまな本から知恵をくみとった人は、旅行案内書をいく冊も読んで、ある土地に精通した人のようなものである。(中略)これと対照的なのが生涯を思索に費やした人で、いわば自分でその土地に旅した人の立場にある。(以下略)

ビジネスも、これと同様です。
旅に出てその土地を訪ね歩くことに似ています。

見知らぬ土地で、右往左往することだってあるでしょう。
見知らぬ土地で、騙されてしまうことだってあるでしょう。

しかし、上手く行かないことも素敵な人や場所に巡りあうことも、全てひっくるめて、それが旅の本質であり、ビジネスもまた同じです。

いつまでも旅立たずに、カタログをめくっていても意味はありません。
旅立ったにもかかわらず、現地のホテルで案内書をめくり続けるなんて、笑えない悲劇でしかありません。

だから、もう一度言います。

読書とは、決して自己投資ではありません。
案内書なんて今すぐ閉じて、外の景色を眺めに行きましょう。

次の日はどこに行こうかなんて、今日寝る前にベッドの中で少し目を通すくらいで充分なはずです。

ps:

もちろん、専門家は自分の分野に関する情報を多量に取得しますし、そのために本もたくさん読みます。

しかしそれは、自分の仕事をこなしていくための材料の取得でしかありません。
それをしなくちゃ、仕事にならないわけですから。

ですから、そんなことまで自己投資と言うのは、ちょっと無理があります。
そういった行為と混同して、自分の多読の根拠付けにするのは、ちょっと止めておいた方が良さそうですぜ。

┐(  ̄ー ̄)┌ フッ・・・

ps:

ちなみに、先のショウペンハウエルの引用については、随分前にもお話しました。
興味のある方は、「読書について」をご覧ください。


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post by ノリユキ at 11:00 | コメント・トラックバック(0)

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