マズローの向こう側へ

intro:

一流のワルで名の通った私は、モチベーションの維持、そしてその能力を行使することに欠けては、天下一品です。

どのくらい天下一品かというと、ラーメン屋「天下一品」の「こってりラーメン」を1ヶ月間毎日食べても大丈夫なくらい、天下一品です。

ですから私は今、自己実現に向けてまい進中です。
来年の今頃には、きっと背中に翼が生えて、「一流のワル」から「一流の天使」へと変貌を遂げる予定です。

もちろん、「天使」と書いて「エンジェル」と呼びます。
お母さんが「そう呼ぶと格好が良いよ」って言ってました。

main:

モチベーション管理などに用いられる有名な説に、「マズローの5段階欲求説」というのがあります。
人材育成に関わる人や企業研修を受けた人、また個人的に自己啓発に勤しむ人であれば知ってる、アメリカの心理学者マズローが唱えた説です。

知らない人のタメに、簡単に解説しますと

この説は、人間の欲求は5つの階層を持っていて、下の階層の欲求が満たされると1つ上の階層の欲求を目指すようになるというものです。
1番下の階層から順に、生理的欲求,安全の欲求,親和の欲求,自我の欲求,自己実現の欲求となっています。

生理的欲求(食欲・性欲・睡眠欲など)が満たされると、次の安全の欲求(衣や住など)を求めます。
安全の欲求が満たされれば、親和の欲求(友人が欲しい、集団の1員になりたい)を求めるようになります。

それが満たされると次に自我の欲求(社会から優秀で価値ある存在と認められたい)を求めます。

さらに、それが満たされると次に人間は「自己実現」を目指す。
自分の能力や可能性を発揮し、自己の成長を望むようになる。

というのが、このマズローの欲求階層説です。
いわゆる現代人が大好きな「自己実現」というのは、この説が発端であると言われています。

この説は、経営学者や心理学者、経営コンサルタントなどが採り上げ、各企業でも研修に使われています。
もちろん、自己啓発に関する教材やセミナーでもお馴染みです。

更にこの説は、国家資格である中小企業診断士のテキストや、大学のセンター試験にも登場するくらいの有名振りです。
マズローさんって、モテモテなんですねぇ。

さて、そんな有名な説ですが、知らない人も多いみたいなんで一応言っておきます。

 

この有名な説は、とっても信憑性が低い仮説です。

 

多くの学者さん達が今まで検証を重ねてきましたが、この仮説を支持できる結果はほとんど見つからないようです。
結果としてこの説は、妥当性が疑わしい説とされています。

で、怖いのは、日本では国家を挙げてこの信憑性の低い1つの仮説を発端に、「自己実現」がムーブメントだと言うことです。

モチベーション管理にこの説は、全く使い物になりません。
この説を根拠に「自己実現」を図ろうなんて、「架空の世界」での出来事なんです。

 

では、なんでこんな信憑性の低い仮説が、まるで「事実」であるかのように語られるかって言うと、要するに“都合が良い”からです。

企業からすれば60年代以降、労働者闘争の中に存在する「企業から搾取される労働者」という意識を従業員から払拭したかった。
できれば、「自己実現のタメに働く」という意識にしたわけです。

また、自己啓発関係者やら新興宗教、また一部の心理学なんかは、この説から発展した構図が自分達の“飯の種”です。
それを広めることが、まさに自分達の“自己実現”なわけです。

そして何よりも、私達一人一人にとって、マズローの欲求階層説をもとに自己実現を目指すと言うことが、都合が良いんです。

自ら進んで仕事や何かにやりがいを見つける方向に持っていくには、この仮説を用いることは非常に有効なんです。

「言われてみれば、そうだね~」と、簡単で納得しやすいのがこの説の特徴ですから。
嫌な仕事をしたり、苦しい思いをいしたりしても、救われる気がします。

 

もちろん、この傾向に異を唱えている人って、少なからずいます。
でも、そんな声は届かない。

人は自分が望む情報を、選んで伝えます。
人は自分が望む情報を、好んで受け取ります。

そして、社会の仕組みは、より多くの人が望む情報がより多く流れるようになっています。

だから、真実はいつも闇の中なんです。

闇の中で、そして様々な雑音の中で。
アナタは、目を凝らし耳を澄ます必要があります。

アナタにとって本当に価値あるものと見極める、そんな能力が必要なのが今の時代です。

ps:

マズローの仮説を、モチベーション管理に用いるのは、確かに不適切です。
ただ、ちょっとだけこの仮説をフォローしますが、人間が求める理想の形の1つを提示したと言うマズローの功績は、評価して然るべきです。

私が懸念するのは、これを利用発展させたような情報が蔓延っているということです。
今、この社会にとって一番危険な凶器はひょっとすると「心理学」かもしれません。

心理学にも色んな学派があるんですが、今この社会で良くお目にかかれる勢力のある心理学って、私は首を傾げるものばっかりです。

post by ノリユキ at 13:04 | コメント・トラックバック(0)

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