簡略化は伝わらない
さて、前回の内容と矛盾した事を言い出しますが・・・
「簡略化すると、相手に想いは伝わりません。」
前回のお話では、複雑な状況を相手に伝えるために、情報は簡略化して伝えた方が良いとお話しました。
確かにこれは、事実です。
簡略化しなければ、相手にその「意図(想い)」は上手く伝わりません。
また忙しい業務の中、簡略化して情報を伝えなければ、発信する方も受け取る方も時間を浪費してしまいます。
ですから、情報は簡略化して伝えていくべきなんです。
しかし情報を簡略化したせいで、逆に誤解を生じさせてしまう事も多くなってしまいます。
こんな事があります。
とある支店の新人営業マンが、単独で新規見込み客にアポイントをとるところまで、ようやく漕ぎつけました。
今までは、先輩に同行してもらいおんぶに抱っこだった彼ですが、ようやく1人で交渉できる自信をつけてきたところです。
彼は支店長に、これから先方へと訪問する旨を、喜び勇んで報告しに行ったんです。
「アポイントが取れました。これから〇〇商事まで行って来ます!」
その報告を受けた支店長が一言・・・
「お前、1人でやれんのか?」
この新人営業マンは、その支店長の一言に相当傷つきました。
ようやく自分自身に自信を持ち始め、喜び勇んでいた矢先の事ですから。
「俺は、信用されてないのか・・・」
もともと気の強い性格の彼は、猛烈に上司に向かって怒り出しました。
挙句の果てには、もう仕事を放り出して会社から帰ろうとする始末・・・
アナタなら、彼の気持ちわかりますか?
でもね・・・
違うんです。
気持ちを理解してなかったのは、この新人の方なんです。
この支店長の言葉
「お前、1人でやれんのか?」
というのは、この新人に”決意表明”をさせる意図があったんです。
「はいっ、大丈夫です!初めてですが、1人でやってみます!」
そう意気込みを見せたら、この支店長は
「よしっ!じゃあ、行って来い!」
と肩を叩いて送り出すつもりだったんですね。
体育会系のニオイのする営業部署では、よくある光景です。
でも、見事にこの支店長の想いは、この新人に伝わらなかったわけです。
なぜ伝わらなかったのか?
この新人が場の空気を読めなかったから?
それもあるかもしれません。
でもこの根本的な原因は、情報を簡略化したからです。
伝えるべき情報を簡略化したために、この新人に誤解を生じさせたのです。
しかし、考えてみてください。
それではこの支店長は、きちんとこの新人に「意図」が伝わるように言葉を費やしてみたら良かったのでしょうか?
「そうか。それじゃあ、これから俺はお前にこの交渉を最後まで1人でやり遂げる意志があるのかどうかを確認する。その覚悟があるのであれば意気込みを見せてみろ。『1人で最後までやりますっ!』と宣言してみろ。その意気込みがきちんとしたものであれば、その宣言した言葉そのものが、おまえ自身に更なる勇気を与えてくれるだろう。そのための決意表明だ。その意気込みがきちんとしたものであれば、俺は喜んでお前を送り出すだろう。なぜなら・・・」
とでも、言えば良かったと思いますか?
まるで、口語体で説明する商品取扱説明書を読んでいる気分です。
こんなのは、血の通った人の会話じゃありません。
ましてや忙しい業務の最中に、わざわざここまで言葉を連ねて、長々と説明する余裕なんてありません。
ではこの場合、支店長は何と言えば良かったのでしょうか?
残念ながら、私は言葉の魔術師ではないんで、わかりません。
いえ、何と言えば良かったかなんて、ある意味どうでも良いんです。
足りなかったのは、「言葉」の数ではなく、言葉の裏側・・・
その「背景」の認識なんです。
また長くなりそうですね。
続きは金曜日にでも。
それでは。
post by ノリユキ at 10:40 | コメント・トラックバック(0)
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