2005年8月29日(月) [ にんげん・こころ | 書籍 ]
今、売れている本に「生きて死ぬ智慧」(小学館)という絵本があります。
科学者である柳沢圭子さん著作の、般若心経の現代訳です。
生きて死ぬ智慧(澤 桂子, 堀 文子/小学館)

優秀な科学者でありながら、人生のおよそ半分にあたる36年間を原因不明の病と共に生きている彼女
NHKの番組で紹介され話題になっているので、知っている人も多いかと。
ただ、「空」(クウ)とかって概念が難しいんで、この本読んでもイマイチ理解できないって人も結構いるみたい。
ということで、私なりにちょっと解説でも入れてみようかと。
もちろん、“私なり”の解釈ですぜ。
色と空と
「色即是空」って言葉があります。
「シキソクゼクウ」って読みます。
「色」って、“目に見えるもの”のことです。
決して、色気とかスケベ心なんかの意味じゃ、ありません。
で、「空」とは、”実体がない”ということです。
「空」という漢字のイメージからすると、「無」とか「存在しない」という意味だと思われがちですが、そうではありません。
固有の本質がそこにない、ということです。
と言うことで直訳すると、「目に見えるものには、実体がない」って事になります。
でも、やっぱりそれだけじゃ、意味がわからない・・・ってはずです。
ということで、もうちょっと説明を加えます。
万物に、不変のものってありません。常に形を変えていく。
人は赤ちゃんとして生まれ、大人になり老人となっていきます。
種は芽を出し、根を張り、茎を伸ばし葉を茂らせ花を咲かし、そして枯れてしぼんで、実を蓄え種を作ります。
世の中の全ての物事は、止まることなく常にカタチを変えていくわけです。
何一つ、変わらないものはない。
しかも、モノは常にカタチを変えていきますが、単独で形が変わるわけではありません。
植物が種から花を咲かすには、水や土、太陽の光などが必要です。
人はその成長の過程で、食物や水、教育などが必要です。
1つとして、単独で存在するモノはない。
1つとして、単独で変わっていくものもない。
そういうことです。
様々なモノゴトの関係の中で、植物も人も、そして全てのモノは存在します。
世の中の全てのモノゴトは、複雑に絡み合い繋がり合って存在しているわけです。
ちょっとイメージしてください。
目に見える全てのモノは、形を変えていく。
そして全てのモノは、つながり関係しあっている。
ということは、つまり全てのものは根本的にみな1つのものだ、と発想することが出来ます。
カタチのない何か1つのモノ・・・
で、これを「空」と言います。
つまり、「色即是空」とは、「目に見えるものは、根本的に形なく1つのものだ」ということです。
で、もうひとつ。
「色即是空」の後に、「空即是色」という言葉が続きます。
つまり、「空」から「色」は生まれ、「色」は「空」に戻る、ってことです。
形のない1つの漠然とした状況から、個体(目に見えるもの)が生じます。
で、その個体は形を変えていき、再び「空」へと滅するわけです。
仏教って、全てのモノゴトは根本的に1つのものなんだ・・・っていう一元的な世界観を持っているんです。
「色」、つまり目に見えるこの世は、「苦」です。
人生とは、「苦」そのものです。
で、元々は実体のない「空」であったはずのものから、「苦」が生まれるのには、原因があります。
そして「苦」の原因は、「執着」から生まれる。
そう仏教では説いています。
生に対する執着、幸福に対する執着、異性に対する執着、若さに対する執着などなど・・・
欲に対する執着が苦を生み出します。
でもね。
全ては元々、1つなんです。
個別に見えるこの世のモノゴトは、本来1つの「空」だったわけです。
みんな一緒なんです。
だからね。
アレが欲しいとか羨ましいとか、苦しいだとか辛いだとか・・・そんなモノゴトに執着する必要なんて、どこにもないんですよ。
そう仏教では、教えてくれてます。
不治の病や原因不明の病気、手術を伴う病気や怪我など・・・
自分の力だけじゃどうにもならないことって、あります。
越えられない壁。
でね。そんな時には、その一元的な海に思いっきり身を委ねてみる。
自分の心も身体も、そしてその周り取り囲む木や空や土や人や動物などなど、全てのモノが根本的に1つなんだって、そう感じてみるわけです。
あとがきより
この「生きて死ぬ智慧」という本の訳者である柳沢圭子さんは、科学者です。
そんな「空」の概念を、彼女は原子の視点から見ています。
この本のあとがきから少しだけ引用します。
私たちは原子からできています。原子は動き回っているために、この物質の世界が成り立っているのです。・・・(中略)・・・私のいるところは少し原子の密度が高いかもしれません。あなたのいるところも高いでしょう。・・・・
この本が売れている理由は、そんな科学者の視点と、病気と共に生きている彼女の優しさと力強さがあるからなのかもしれません。
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2005年3月21日(月) [ 書籍 ]
今、私はこの本を読み返しているところなんですが、改めて
「呆れるくらいに凄い。」
って思ってます。
戦後、泥にまみれながら徒手空拳でのし上がってきた人たち(主に田中角栄)の言葉を、作者がまとめています。
良くある「名言集」なんかよりも、凄みがありますぜ。
オヤジの知恵 (早坂茂三/集英社文庫)

事を成す人というのは、「功」と「罪」を両方背負っているものです。
そしてどちらをクローズアップするかでその人に対する感情的な評価は決まります。
で、この作者、早坂茂三氏も嫌いな人、多いかも。
ご存知、田中角栄元首相の側近。
別に泣ける本でも何でもないんですが、読んでいるとなぜか目頭が熱くなるような感じです。
人によっては、下品さを感じる人もいるのかもしれません。
スマートじゃないですから、ここに出てくる人たちは。
でも、やっぱり泥にまみれながら生き抜き、そしてのし上がってきた人の言葉は違いますね。
田中角栄はその「罪」がクローズアップされていた時期がありますが、今はどちらかと言えば再評価されています。
なぜ、再評価されるのか?
現在渦中の真っ只中にいる堤義明氏の父であり、西武グループの創設者である堤康次郎氏が
「いや、あの人だけには敵わない。」
と言わしめた田中角栄という人の一端が、コレを読めば知れるような気がしてきます。
一生のうちに一度は読んでおきたい、そんな本です。
post by ノリユキ at 8:58 | コメント・トラックバック(0)
2005年2月14日(月) [ 書籍 ]
ひとつのEメールが世界中を駆け巡り、そして本になりました。
大きな文字とイラストが、まるで絵本のよう。
小さな子供と一緒に読むのも良いかもね。
でもね、この視点を持つことは大切なんです。
世界がもし100人の村だったら(池田 香代子, C.ダグラス・ラミス/マガジンハウス)

私が学生時代の頃の話です。
ゼミの先生にこう言われました。
「物事を自分の身近な状態に置き換えるのは、ひとつの視点の持ち方として大切なんだ。」
物事を考えていくと、いつの間にか理想論に終始していることって結構あるんです。
賛同している意見が、実は自分がされたら否定したくなるようなことだったりとかね。
そんな時、一見大きな枠組みを自分が実感できるようなところまで噛み砕いていく。
そうすると、今まで隠れていて気がつかなかったことが見えてきたりするんです。
もちろん、それで全てがわかるわけではありません。
あくまで、“ひとつの視点として”です。
でも、それって大切なことなんです。
この本では、世界を100人の村に例えて話をしています。
「こういう風に物事を置き換えると、こんなことが見えてきたりするんだ・・・」
なんて感じてくれたらいいな。
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2005年2月5日(土) [ 書籍 ]
バブル崩壊後、それまでの日本企業を支えてきた年功序列制が非難され、しきりに「成果主義」が唱えられました。
しかし、現在その成果主義にほころびが見えてきています。
内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (城 繁幸/光文社ペーパーバックス)

この本は、富士通の元人事部社員による暴露本といった感じでしょうか。
「成果主義」導入の先陣を切った富士通が、その後10年間で負け組みへと転じた内幕が語られています。
この本の欠点から先に言うと・・・
無意味な英単語による読みにくさが挙げられます。
所々で日本語語句の英単語訳が挿入されていますが、意味不明です。
出版社の意図と実用性がかみ合っていません。
また、この本における問題提起とその考察からすると、暴露本の域を超えるとは言い難いかもしれません。
しかし、面白いです。
実際の企業の”生々しさ”が感じられます。
そして、既存企業による成果主義の導入の難しさ、また成果主義が抱える矛盾点がよくわかります。
成果主義を導入した企業においては、何かしら富士通と共通する部分があるのではないでしょうか?
組織という枠組みの中に自分自身が埋没してしまうと、人をまるで駒の様に扱ってしまう事があります。
あなたは、人を人としてマネジメントできていますか?
既に成果主義を導入している企業、またこれから導入を考えている企業の担当者や経営者に読んでおいてもらいたい一冊です。
post by ノリユキ at 7:16 | コメント・トラックバック(0)
2005年2月5日(土) [ 書籍 ]
階層社会では、全ての人が昇進を重ね、やがてそれぞれが無能レベルに達する。
そして、あらゆるポストは職責を果たせない無能な人間によって占められる・・・
ピーターの法則(ローレンス・J・ピーター, レイモンド・ハル, 渡辺 伸也/ダイヤモンド社)

この本が書かれたのは、今からだいぶ昔のことの様ですが、去年発売さた際に割りと話題になりました。
人は組織の中で、昇進していきます。
そして昇進したポストで実力を示せば、次のポストへと昇進します。
しかし、昇進したポストで実力を示せなければ・・・
つまりそのポストにおいて無能であれば、それ以降昇進はなく、人はそのポストに留まる事になるわけですね。
それが繰り返されていくと、やがて組織はどのポストにおいても無能レベルに達した人たちで占められていくことになるのです。
このピーターの法則が、どのケースにおいても必ずしも当てはまるかどうかは、多少の疑問が残ります。
ただ、組織というものが抱える重要な側面を提示している事は確かでしょう。
post by ノリユキ at 7:11 | コメント・トラックバック(0)